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怪談 [spirit]

残暑きびしき折。日本は昔から、熱い夏の夜を 「怪談話」 で涼をとっていたんですよね。

NHKで放映された 「日本怪談物語」 の再放送に思わず聞き入ってしまいました。
王宮の葬儀の話から「怪談話」では話の流れが出来すぎな気もしますが、これも自然の流れです。

お寺の中で暗闇に蝋燭をともし、赤や青の怪しげな照明を使うなどの演出も手伝って効果満点。
和装のベテラン女優俳優(黒木瞳、近藤正臣ほか)が、江戸時代の怪談話を次々語っていきます。

その話の多くは人情沙汰で、この世に思いを残したままあの世に行ってしまった人々が
生前の愛する人、憎しみの相手の前に姿を現し、その思いのたけを語っていくというものです。
お馴染みの 「四谷怪談」 「牡丹灯籠」 に始まり、遊郭や身分制度を背景とした愛憎劇などが
間断なく続くのですが、飽きることなく聞き入り、その語りの世界に引き込まれました。

外国の地にいながら見聞きする日本の怪談話というのも、なかなか風情があります。
日本の「家族への情」「良心」「恐れ」「恥」「情け」「悔い」「弔い」「畏敬」「因果応報」…
そういったもの、日本の記憶が心の奥からふつふつと呼び起される感覚があるんですよ。

      086. 夕闇.JPG

先日の「王宮の葬儀」でバリ人の「生と死」「あの世とこの世」について考えたばかりです。
バリ人の葬儀には 「魂の解放」 を喜ぶ明るさのようなものがありました。葬儀は悲しい別れではなく
実に「さばさばしている」とでも言いましょうか。現生の閉幕を飾る人生最大の楽しい儀式。
亡き人とは、いつでもまた会える。 「じゃあ、またね」 とでも言うような。。。
あれだけ大勢の人々に見守られて旅立つ死者の魂も、晴れがましいものとして目に映ります。

オール原色フルカラー・ビジョンのバリの葬儀と、 「黒一色」 の日本の葬儀、 「灰色」 の怪談話。
そこから連想すると、日本人の「死」には現生への執着による憂いのようなものがなんとなく、
…見えてくる気がします。


タグ:怪談 葬儀
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